近年,就職時に求められるコミュニケーション能力向上へのニーズや,社会人基礎力の提唱などに伴い,大学や短期大学においてコミュニケーション教育を取り入れる動きが出ている。各大学が独自のプログラムを作成し取り組んでいるが,それらの知見を概観してまとめたものは少ない。本論文では,現在,大学・短期大学において,どのようなコミュニケーション教育が行われているかを概観し,今後の課題を明らかにすることを目的とした。2000年以降の国内の文献を調査した結果,実施したプログラム内容の詳細について記載があった文献が15見出された。その内容について整理した結果,大きく分けて「自己理解・自己成長」「伝えるスキル」「きくスキル」「チームでの問題解決」の4カテゴリーに分類された。また,今後の課題として,綿密な計画に基づいた効果測定(特に一定時間を経ての長期的・持続的効果)が求められることを指摘した。