検出時に電力を必要としない究極の省エネ放射線検出器である原子核乾板に、Rh化合物を用いた感度抑制技術を導入し、重原子核を最小電離粒子(MIP)の様に振る舞わせる技術開発を行ってきた。この乾板中での重粒子飛跡を超高速飛跡認識装置(HTS)によって核種同定する方法を確立し、2023年にオーストラリアにて計画しているGRAINE気球実験で、宇宙線原子核組成の観測を行う。そして、宇宙の重元素の起源の検討が可能なデータを供給する。HTSはMIP荷電粒子飛跡の超高速自動認識を実現し、従来の原子核乾板解析を一変させ、その用途に革新をもたらした。原子核乾板の感度制御技術とHTSの技術を融合することにより、大面積原子核乾板による宇宙線原子核組成観測を実現する。