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ウェルシュ菌はグラム陽性の嫌気性菌で、ヒトにガス壊疽や食中毒を引き起こす。 α-毒素はガス壊疽の主要な原因毒素の一つである。α-毒素をコードするplc遺伝子のプロモーター上流には、3つのphased A-tracts(3A)が存在する。我々は以前、phased A-tractsがin vitroで低温依存的にplc遺伝子の発現を促進することを報告した。一方、清水は、低分子RNAであるVR-RNAもplc遺伝子の発現を促進し、その発現はVirR/Sという二成分系によって制御されていることを報告した。我々は、VR-RNA欠損株とphased A-tracts欠損株(0A)、および両者を欠損した株を作製した。これらの変異株のα-毒素産生とplc遺伝子の発現をウエスタンブロット解析とリアルタイムPCRで調べた。A鎖の欠失(0A)は、α-毒素産生量とplc転写レベルをそれぞれ、1/14から1/5、1/46から1/7に有意に減少させた。VR-RNA(vrr)遺伝子の欠失はα-毒素産生量を1/5から1/2に減少させ、plc転写レベルも1/2に減少させた。VR-RNA欠損変異体では、in vivoでplc遺伝子の発現が低温依存的に有意に亢進した。これらの結果は、VR-RNAを介したVirR/S二成分制御系とは独立して、phased A-tractsがplc遺伝子の発現に寄与している可能性を示唆している。 |