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Miyu Shiraga, Riyo Aono, Hirofumi Nariya, Nozomu Matsunaga, Hiroshi Sekiya, Eiji Tamai, Seiichi Katayama
自己溶解酵素(オートリシン)は、ペプチドグリカンを分解する酵素であり、細菌の細胞分裂に必須の酵素である。ウェルシュ菌(Clostridium perfringens)は、ヒトにガス壊疽と食中毒を起こす編性嫌気性有芽胞細菌であり、オートリシンであるAcpが細胞分裂に大きく関与していることが知られている。Acpは、シグナルペプチドと10個のSH3サブドメイン(CWB)からなる細胞壁結合ドメインとN-アセチルグルコサミダーゼドメイン(AcpCD)からなる分子量120 kDaの酵素である。我々は、Acpの3番目と4番目のCWBの間で切断された7つCWBを持つAcp(95 kDa)が隔壁および極に局在すること、CWB がないAcpCDを持つ菌では細胞分裂に異常をきたし菌体が長くなることを明らかにしてきた。 本研究では、Acpの機能にCWBがどのように関与しているかを明らかにすることを目的とした。さまざまな長さのCWBを持つAcpの遺伝子をキシロース誘導型プロモーターを持つ発現ベクターにクローニングし、acp遺伝子欠失株(NH13 acp::erm)に形質転換した。0.01%キシロース存在下において、これらの遺伝子を発現させ菌体の長さを測定した。その結果、5つのCWBを持つAcp(6-10 CWB+CD)は完全なAcp(1-10 CWB+CD)とほぼ同じであったが、2つのCWBしか持たないAcp (9-10 CWB+CD)では長くなっていた。CWBの数がある一定以上少なくなると細胞分裂に異常をきたすことから、CWBの数がAcpによる細胞分裂に影響を与えることが示された。 |