近年、複数の恐竜種から、現生鳥類の繁殖期の雌に特異的に認められる骨髄骨の存在が報告されている。しかし、同じ主竜形類に分類されるワニ類、カメ類では、石灰質の卵殻を形成するにも関わらず骨髄骨は確認されていない。本研究では、現生爬虫類の卵殻形成時における骨組織の関与を明らかにするため、特殊染色法を用いてカメ類の骨組織代謝について解析を行った。その結果、カメ類では卵殼形成時に骨髄骨は観察されなかったが、背甲に破骨細胞が多数存在し、骨を吸収している像が確認された。以上の結果から、カメ類では骨髄骨が形成されず、卵殼形成時に甲羅から卵殻へとカルシウム供給を行なっている可能性が示唆された。