How to utilize “children's awareness” in the classroom
Michiko Kamita
中央教育審議会は、二〇二〇年代を通じて実現すべき「令和の日本型学校教育」の一つとして、個別最適な学びとともに、協働的な学びの実現をあげている。協働的な学びとは「一人一人のよい点や可能性を生かすことで,異なる考え方が組み合わさり,よりよい学びを生み出す」学習を指す。つまり、子ども集団のもつ教育力を活用して、子どもの生活経験と社会問題を関連付ける認識形成を目指す学習と言えよう。佐藤学は「あらゆる学びは新しい世界との出会いと対話であり,対象・他者・自己との対話による意味と関係のあみ直し」であるとする。そうであるならば教師は、どのようなもの・こと・人に出会うことで、子どもの認識はどのように再構成されたのか、そのような子どもの変化は、当初の教材観・授業計画とずれていないか、ずれているならば、どのように修正するのか、子どもの気づきを活かすためにどのような学習活動を取り入れるのか等、社会科の目標を念頭においた上で、授業を修正していく必要がある。しかし、昨今の授業実践における評価は「子どもの気づきに合わせて授業を再構成するための評価」ではなく,「子どもを教師の立てた授業計画に合わせようとする,または合わせるための評価」になる傾向がある。それでは子ども集団の教育力に依拠した協働的な学びの実現は難しい。そこで本稿では、子どもの豊かな発想や気づきを活かす、学習の見直しのポイントについて、①社会科の目標に紐づけた子どもの気づきの見取り②子どもと社会をつなげる社会科授業構想③実際の修正と調整から明らかにしていく。
社会科教育
明治図書出版
第61巻
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