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人間関係や絆を築く上での自己開示の重要性をふまえると,今後利用が進むであろう VR 空間において,アバ タが自己開示にどのような影響を及ぼすかを調査することは重要である.先行研究では,アバタは,親しみやすさや 正直さ等を高めることは示されているが,どのようなアバタが自己開示や自己開示の互恵性にどのように影響を及ぼ すかは,十分に研究されていない.本研究では,54 組(n=108)の参加者に,ビデオ会議,アバタと自己の外見的類 似性のあるアバタ,アバタと自己の外見的類似性のないアバタの 3 つのコミュニケーションメディアのいずれか一つ を用いて対話してもらう実験を行った.その結果,アバタと自己の類似性がないアバタ,類似性があるアバタ,ビデ オ会議の順で,参加者の自己開示が促された.また,互恵性は,2 つのアバタでは形成されたがビデオ会議ではされ なかった.さらに興味深いことに,参加者はこのようにアバタを介すとビデオを介した場合よりも自己を開示するに も関わらず,主観的な体験に違いはなかった.これは,アバタを介した場合,ユーザはそのことに特段の意識を払う ことなく自己を開示し得ることを意味し,人の率直な思考や感情を理解したい局面でのアバタの有用性を示唆する. |