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本研究では,話題に対して態度の賛否が異なる二者がコミュニケーションを行う状況を設定し,(1)コミュニケーション当事者が相手を説得しようとする時に用いる,言語的・非言語的チャネルを明らかにし,(2)その際に使用したチャネルが態度変化や対人印象に及ぼす影響を検討した.(1)を検討した結果,言語的チャネルに関しては,説得条件のときに,「連帯性を示す」発話内容が,会話の半ばや会話の終わりよりも会話の初期に多かった.また,「意見を与える」,「意見を求める」発話内容は,統制条件よりも説得条件のときに多かった.一方,「方向づけを与える」,「方向づけを求める」発話内容は,説得条件よりも統制条件のときに多かった.さらに,男性は統制条件よりも説得条件のときにジェスチャーを多く使用することが明らかになった.アダプターは,説得条件のときに,会話の半ばや会話の終わりよりも会話の初期に少なかった.(2)を検討した結果,説得条件では,態度変化に,「示唆を与える」,「意見を述べる」,「方向づけを求める」,「示唆を求める」,視線が有意な正の影響を与えていた.また,個人的親しみやすさに,「同意する」,ジェスチャーが有意な正の影響を与えていた.しかし,統制条件では,態度変化と個人的親しみやすさに有意な影響を示すものはみられなかった. |