話し手の認知に及ぼすスピーチ速度の影響―話し手の信憑性および知覚された説得力に注目して―
横山ひとみ・大坊郁夫
本研究は話し手の信憑性および知覚された説得力に注目し、話し手の認知に及ぼすスピーチ速度の影響について 検討を行った。予備調査において、説得的メッセージ項目を抽出し、「精神鑑定で犯罪者の責任能力を問うのは間違い ではない」という内容の説得的メッセージを作成した。本実験では、146 名の大学生に対して、3 種類のスピーチ速度 (速い・普通・遅い)のいずれかの説得的メッセージを提示し、話し手の信憑性や知覚された説得力などへ回答を求めた。 その結果、信憑性を構成する信頼性に関しては、遅いスピーチ速度が信頼性を高め、専門性に関しては、速いスピー チ速度が専門性を高めることが示唆された。スピーチ速度が知覚された説得力に及ぼす影響に関しては、スピーチ速 度は知覚された説得力に影響を与えないことが示された。
対人社会心理学研究
8
65
70
https://doi.org/10.18910/11603