Conference

Basic information

Name Kadekaru Sho
Belonging department
Occupation name
researchmap researcher code R000032212
researchmap agency Okayama University of Science

Title

ワオキツネザル Lemur catta の中枢神経幼虫移行 症の1 例

Author

原田 峻輔、林 慶、嘉手苅 将、中村 進一、木村 藍、 秋山 多江、宇根 有美

Journal

第166回日本獣医学会学術集会

Publication Date

2023/09/05

Invited

Not exist

Language

Japanese

学会講演(シンポジウム・セミナー含む)

Conference Class

Domestic conferences

Conference Type

Verbal presentations (general)

Promoter

Venue

東京農工大学(オンライン)

URL

Summary

【背景】中枢神経幼虫移行症とは、線虫の幼虫が固有宿主以外の動物
に感染、全身に移行し、致死的な中枢神経傷害を起こす病態をいい、
代表的な線虫として、アライグマ回虫、イヌ回虫、ネコ回虫、広東住
血線虫Angiostrongylus cantonensis(Ac)がある。今回、展示施設で飼
育されていたワオキツネザル(Lc)1 頭が神経幼虫移行症で死亡し、Ac
感染の疑いがあり注意喚起を目的にその概要を報告する。
【動物】単独飼育されていたLc1 頭がふらつき、後肢麻痺、姿勢維持
困難、振戦などの進行性の神経症状を呈して、第18 病日の経過で死
亡したので、病因解明のために病理学的および分子生物学的に検索し
た。
【結果】肉眼的に小脳表面に出血巣が散在し、髄膜表面に、数隻の蛇
行する細長い寄生虫が目視できた。組織学的に、大・小脳の脳溝を中
心に寄生虫を伴う高度の軟化、出血が認められた。虫体の横断面は円
形、幅100 ~ 150 μm、非細胞性の外皮、外皮内側に1 対の側索と発
達した筋層、偽体控と消化管を有していた。一部で、虫体周囲にマク
ロファージによる被包化、石灰沈着、顆粒球浸潤、線維素折出などが
観察された。分子生物学的検索のPCR 検査では十分量のDNA を確保
できなかった。
【まとめ】虫体の形態、日本の流行状況、北米のアカエリマキキツネ
ザル例と本例の病理像が一致したことから、Ac 感染を強く疑った。
感染源を特定できなかったが、Ac では、ヒトへの健康被害も想定さ
れるため飼育環境の改善や飼料の入念な水洗、終宿主の駆除などの対
策をとった。併せて、本例のような原因不明の進行性の神経症状が継
続した場合、鑑別診断として幼虫移行症も念頭に置く必要があると考
えた。