中国人インバウンドは日本とは背景となる歴史や文化が違うことから企業が観光をとおして顧客の期待することに迅速に対応することが必要である。これまでの企業が中心となって実施するマーケティング活動ではこのような観光客に対して十分な対応ができないのではないかとの問題意識をもっている。本研究の目的は価値共創マーケティングのアプローチで事例研究を採用して中国人インバウンドの立場から考察することである。そして、サービス業を価値共創マーケティングの視点から捉え直すことで文脈マネジメントの概念化と精緻化を目指すことである。事例研究をとおして顧客の文脈価値の生成プロセスを4Cアプローチで明らかにして、企業の文脈マネジメントについて概念化を試みた。企業は情報の「逆非対称性」が存在することから、顧客との直接的相互作用を通して文脈を高めるための対応をしていた。価値共創マーケティングの文脈マネジメントの視点では企業が顧客の観光消費プロセスにおいて外部との相互作用を積極的に活用することが重要であることが導出できた