放射線や原子力発電は、科学概念や技術の難易度が高いものの、エネルギー環境問題への考察を深めるには避けては通れない学習教材である。特に地層処分事業については、諸外国と比較して我が国での認知度は低く、学校教育における取り扱いが望まれる現状がある。
本研究では、放射線教育を軸としたエネルギー環境教育の試みとして、地層処分事業を諸外国との比較を取り入れて扱う体験型学習プログラムを開発し、高校生を対象に教育実践を行った。そして、この学習活動から高校生は何を学びどのように変容したか質的に分析した。
その結果、体験することで地層処分事業受け入れについての複雑な状況を理解し、地層処分事業に関する考察を深められたことが認められた。また、地層処分事業に取り組む諸外国との比較を取り入れたことで、我が国の特質に対する気付きが促進されたことが示され、海外事例との比較を行う国際教育の有効性が認められた。