糞便微生物叢移植(FMT)療法の霊長類モデルでの検証を目的として、本研究ではコモンマーモセットを用いて腸疾患に対するFMTの有効性を検討した。炎症性の腸疾患が疑われる慢性下痢症での検討では、FMT後に便性状の改善、体重の増加、低アルブミン血症および貧血の改善を示す個体が認められた。また、再発性Clostridium difficile 感染症(CDI)での検討では、FMTによりCDIの再発が抑制される傾向が認められた。16SrRNA遺伝子による糞便細菌叢解析ではFMT前後でマーモセットの菌叢構成に変化が認められており、FMTにより腸疾患に関連したdysbiosisが改善されたことが推察された。