検出時に電力を必要としない究極の省エネ放射線検出器である原子核乾板に、ロジウム化合物を用いた感度抑制技術を導入し、重原子核を最小電離粒子(MIP)の様に振る舞わせる。この飛跡を超高速飛跡認識装置(HTS) によって同定する方法を確立する。そして2022年にオーストラリアにて計画しているGRAINE気球実験に感度制御乾板を導入して、宇宙線原子核組成の観測を行い、超新星爆発や中性子星合体現象のどちらが宇宙の重元素の起源であるかの検討を行うことができるデータを供給する。HTSはMIP程度の荷電粒子飛跡の超高速自動認識を実現し、従来の原子核乾板解析を一変させ、その用途に革新をもたらした。また、原子核乾板の感度制御技術も我々の手で確立され、これら両技術を融合することにより、宇宙線重原子核の大面積観測を実現する。