金属光沢、電気伝導性、熱伝導性などの金属の共通する性質を理解すること、すなわち金属概念を形成することは、化学教育において重要である。発表者は、勤務大学の教養科目において、仮説実験授業の授業書を活用した金属概念に関する講義を行ってきた。その結果、1円玉や5円玉の電気伝導といった基本問題であっても大学生の正答率は6割弱であり、「全ての金属は良導体である」という認識の定着が不十分であることがわかった。これを改善するためには、仮説実験授業で行われている問題3(銀色の折り紙=紙にアルミ箔を貼ってある)、問題4(アラザン=砂糖の周りを銀箔でコーティングしてある)のような判断に迷う問題を扱い、金属光沢と電気伝導の関係を強く意識させることが有効であると考えられる。そこで、これらの問題の類題を開発するため、豆電球もしくはLED電球と乾電池のテスターを使って、幾つかの金属光沢をもつ試料について導通を調べた。