社会貢献活動

基本情報

氏名 衣笠 哲也
氏名(カナ) キヌガサ テツヤ
氏名(英語) Kinugasa Tetsuya
所属 工学部 機械システム工学科
職名 教授
researchmap研究者コード 1000250341
researchmap機関 岡山理科大学

タイトル

レスキューロボットコンテスト

役割

主催者・発行元

 

イベント・番組・新聞雑誌名

レスキューロボットコンテスト(レスコン)には,レスキューに関する社会的理解を深めていただく一手段としての意味を付していますので,このコンテストには次の原則があります.
原則:レスコンの背後には,常に現実のレスキュー活動が控えています.

したがって,理想的には,
1)他のチームとの相対的な勝敗は第一ではありません.
あくまでも自己ベストを探求する競技だといえます.本コンテストでは,災害救助活動に対する社会的理解の探究,技術的な成果の社会への還元,創造性を育む場や機会の提供,新しい研究テーマや製品アイデアの発掘,などが重要であると考えています. 競技形態をとるのは,そのことによってお互いの技術やアイデアを切磋琢磨するためです.

2)緻密なルールや制限はあえて設けない方針です.
なぜなら,現実のレスキュー現場は千差万別で,基本的にはその場での合理的・人道的判断によって行動しなくてはならないからです. あらかじめ定められた現場であらかじめ定められたルールの下での行動にはならないからです.

3)2)の結果,競技上迷いが生じることがあります.
たとえば,ルール上は禁止されてはいないがこういう行動はとってもいいのだろうか,というような迷いが生じるかもしれません. そのときには「現実のレスキューではどうなのだろうか」と考えることで判断していただければと思います.

という基本姿勢が生まれます.この姿勢はすべてレスキューに関する社会的理解を深める活動につながる重要な点ですが,特に2),3)は,競技者に自由度を与え,自分で判断もしていただこうという点で重要であると思います. そのとき,必ず現実のレスキューのことを考えざるを得ない状況になり,そのような考えに至ることが,まさに,レスコンのねらいでもあります(社会性を一つの軸にした活動たるゆえんです).

上の基本姿勢は,理想論として常に念頭においておきますが,一方では一般の方々が参加する競技会という側面も有しております.その意味では,
制限1)  競技者や観客の安全を保障しなくてはなりません.

たとえ現実のレスキュー現場で行われる可能性があるにしても,ロボットなどが暴走したときに,競技者や観客に危険を及ぼす可能性がある手段はできる限り避けましょう.
制限2)  競技場の破壊は避けましょう.

今回の実験フィールドにある被災地のブロックには,ガレキを固定したブロックと固定していないブロックがあります.固定したブロックを設けた理由は,競技場の設営と再利用を容易にするためです.確かに現実のレスキュー現場を考えると必要のない設定ですが,競技運営上やむを得ず採用しました.この理由により,除去が許されているガレキ以外のガレキは除去(破壊)しないでください.(もちろん,故意にではなく壊れてしまった場合にはしかたがないと判断します.ただ,減点対象にはしたくないので,自主的に守ってください.)

上記の制限2)は競技の運営上から出た制限ですが,これをより現実的側面から正当化するには次のような事実が参考になります.

事例)阪神・淡路大震災では,以下のようなことがありました.
(1)  災害現場では私有地内(家が建っていた場所など)の物品--例えそれがガレキと化したものであっても--には勝手に触ってはいけない(触って欲しくない).私有地内に無断で入ることも好ましくありません.
(2)  道路上のガレキは基本的には除去することが望ましい(もちろん,その中に被災者がいないことが前提です).
(3)  除去したガレキの置き場所はよく考える必要がある(私有地に持ち込む考え方は,(1)に違反する.).

このことをコンテストに置き換えますと,次のようになります.
1200mm×1200mm のブロック内は「私有地」とみなしております.したがって,その上のガレキをむやみに壊したり乗り越えたり,取り除いたガレキをそのエリアに積んだりしてはいけません.取り除いたガレキは少々壊れてもOKとします. 除去可能・破壊してもいいガレキは色で区別します.ただし,除去したことに対する定量的な評価はしないこととします.

実は,レスコンの理想像を追求することと競技会としての成り立ちを追及することには,場合によっては矛盾することがあります. この矛盾をどこで妥協するかが重要です.結論は出ていません.これからも悩みながら進めてゆくのでしょう.

以上のことを踏まえて,今回のレスコンのストーリーを考えてみたのが以下です.

ここは「国際レスキュー工学研究所」だ.
この研究所では,レスキューに関する技術の評価と訓練のために,コンテスト形式で機材や運転の技術の高度化が行われている. 研究所内には,大地震で倒壊した市街地を模擬した8分の1スケールの実験フィールドが 構築されており,いままさにレスキュー訓練が開始されようとしている.

今回の状況の設定は次のとおりである.
状況1)ガレキの中には実験用ダミーが数体設置されている.
状況2)幸いダミーの設置場所は目視で確認できる. ただ,もしかしたら他の場所にも埋没していないとも限らない. また,他のガレキは私有地にあるので,むやみに破壊し乗り越えてはいけない.
状況3)二次災害のおそれがあり,人間が立ち入ることが出来ない.

そこで,遠隔操縦のレスキューロボットの出動だ!
ロボットから送られてくる映像をもとに,一刻も早くガレキや障害物を取り除きダミーを探し,優しく助け出し,安全な場所まで運ぶことが今回の任務である.

年月日(From)

2000/01

年月日(To)

場所・掲載箇所

 

URL

種別

フェスティバル

概要

対象