外国語教育において洋楽を教材として活用するという試みは古くから広く行われており、実践報告も多くなされている。しかし、英語の歌の有用性を認めて広く活用されているとはいえ、その多くは授業の雰囲気作りや授業中の息抜きというように、英語の歌の教材としての価値が必ずしも現場教員に認識されているとは言えない。中学校・高等学校においては検定教科書であるため歌を主体として利用することが困難だが、大学用テキストにおいては自由な記述ができるため歌の利用は可能であり、実際に歌を利用したテキストも出版されている。また、大学の大衆化に伴って昨今多くの大学において学生の学力低下が喫緊の問題となり、大学での学びへと誘うためにさまざまな取り組みがなされている。本学においても学習支援活動を行っており、筆者も学生の学習相談などの学習支援活動に関わっている。さらに、本年度筆者は英語を最も苦手としている学生のクラスを担当しているが、彼らに言語や異文化への関心を持たせ、少しでも英語学力改善を図り、その後の学修に導くことを念頭に、洋楽を外国語学習の教材として積極的に活用した授業展開を行っている。本発表ではその授業実践について紹介し、洋楽を教材として英語学力改善に活用することへの可能性について話題提供を行う。