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令和6年1月1日16時10分、能登半島西方沖から佐渡島西方沖にかけて伸びる活断層を震源とする、「令和6年能登半島地震」が発災した。倒壊した建物を解体して、更地となった土地に新たな建物を建てること、それに伴いこれまでの営みの歴史の中で形成されてきた伝統的な町並みを失ってしまうことが、推し進められる被災地の復旧・復興のあるべき姿だろうか。木造の建物であれば、その状態によっては建て戻して再建し、その地域の伝統的な景観を残し継承していくことができるのではないか。本稿は、全壊判定を受けた木造平屋建ての輪島塗の椀木地師の工房建物を建て起こして再建したプロセスにおける、設計段階の検討内容、工事段階の実践内容、完成した成果内容という具体的な取組事例を報告することによって、解体によるのではない、地域の文化や伝統を守り継承していく、今後の新たな被災地復興手法のあり方を見出していくための一助となることを目的とする。 |