ライフサイエンス研究分野において,分散データベースの連携・統合,計算機資源の共有,研究者間の情報交換といった観点から共同研究の必要性は高まる傾向にある.グリッド技術によって,共同研究を支える基礎となる仮想組織(Virtual Organization: VO)の形成が可能になりつつあるが,操作性,利便性における問題は依然として残っているのが現状である.特に,情報科学以外の分野に従事する研究者が利用するデータやプログラムの位置を意識しつつ,その研究開発を推進することは非常に困難である.そのような観点から,本研究では,操作性,利便性および位置透過性の提供を目的とし,ライフサイエンス分野における共同研究効率化を実現するグリッドポータルを構築する.本論文では,プログラムおよびデータの位置透過性を実現するグリッドポータルのアーキテクチャついて報告するとともに,その問題点と将来課題について報告する.