通信のQoEに関する近年の議論を踏まえると,5G技術を導入した新サービスがユーザに受容される過程においても,技術的な水準の高低だけでなくユーザ自身の認知や経験,知識などが品質評価に影響を与えると予想される.本研究では大学内のローカル5G環境を想定した映像品質評価の実験とアンケート調査を実施し,品質評価に影響する要因についての分析を行った.統計モデリング(線形混合モデル)の結果,回答者の個人差を考慮したモデルの適合度が高くなった.また,動画の総合的な品質評価に対しては,画質や遅延の待ち時間の条件だけでなく,「5G」というロゴを動画内に提示した条件も品質評価を下げる方向に影響していた.