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本論文では, エッジトリガ型CMOS Dフリップフロップ(EDFF)とマスタスレーブ型CMOS Dフリップフロップ(MDFF)を対象に, メタステーブル(MS)動作の軽減法を組織的に検討している.まず, 計算機シミュレーションの結果から, EDFFとMDFFに内蔵される各フリップフロップ(FF)のMS動作発生機構を三つのタイプに大別し, この結果を利用してMS動作の軽減方針を示している.次に, これら三つのMS動作の一つをしきい値差法(FFのしきい値電圧と後続する素子のそれとに差を設け, MS動作の伝搬を阻止する方法)により完全に抑制し, 残りの二つをフィードバック法(付加的フィードバックによりMS動作持続期間を短縮する方法)により軽減するという統一的なMS動作軽減策を与えている.また, これらの方法を施す際に用いる回路の一部についても新たに提案している.最後に, 上述したMS動作軽減策により, EDFFとMDFFいずれにおいても, 入力位相差(クロックパルスの変化時刻と入力の変化時刻との差)に対するMS動作持続期間の増加割合が約1/4に, MS動作が生起する入力位相差の範囲が約1/3に低減されることを計算機シミュレーションによって示している. |