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本論文では,メタヒューリスティクスの1つであるタブーサーチを用いて臨床実習スケジュールを自動的に作成する手法を提案している.国家資格である臨床工学技士の取得には規定時間の臨床実習を行うことが義務づけられている.養成校における臨床実習スケジュールの作成問題は,組み合わせ最適化問題の実用事例である.一般に,組み合わせ最適化問題では,線形計画のように厳密な最適解を求めることは非常に困難であることが知られているが,近似解法や発見的手法を用いることで近似最適解を求めることができる.また,近似最適解の精度が十分に高ければ厳密な最適解でなくてもその解に満足のいく場合が多い.本論文で取り扱うスケジュール問題は,複数種類の実習を全て履修することを前提に,受け入れ可能な実習や期間が異なる複数の病院に対して,病院が定める受け入れ可能な上限数を超えないように学生を配置する問題である.このような問題にタブーサーチを適用し解を求めるために,まず,臨床実習スケジュールを作成する際に考慮する条件として,9つの条件を制約条件として導いている.次に,制約条件に関する評価を行うための目的関数を定義している.解の探索を行う際に,制約条件に違反するごとにペナルティを課し,そのペナルティ値を目的関数により評価することで解を求めている.ただし,本論文では実行可能解を求めることを目的としているため,実行可能解同士の優劣については考慮していない.最後に,提案手法をアプリケーションとして実装している.本アプリケーションでは,GUIウィンドウ上で実習生の班数,病院数,業務数などを設定することで動作し,解となるスケジュールをファイルに出力する.実問題として,実習生数60名,病院数4,業務数5,班数15の臨床実習スケジュール作成に対して,約2分程度でスケジュールが作成できることを確認している. |