本学では教育改革推進事業の一環として,恐竜学博物館教育プログラムを充実させることを目的に,学生参加型のゴビ砂漠恐竜化石発掘を令和4年度から2年間にわたって実施されることになった.体験場所はモンゴル政府の発掘許可が認められたモンゴル南部ゴビ砂漠南西部シャルツァフ周辺で,参加学生は5人,本学教員3人,モンゴルでの指導者等4人の合計12名,日程としては2023年8月19日~8月31日の13日間で行われた.また,学生5人は教育学部・工学部・生物地球学部といった異なる専門分野から参加した. 現地は白亜紀の地層がほぼ水平に露出しており,場所によっては一定面積あたり極めて密な恐竜化石が散在していた.参加学生は指導教官による発掘の方法を学んだ上で丁寧に骨化石の周辺を掘り出す作業に熱中した.学生によっては歯や下顎骨といった頭骨の一部だけでなく,大腿骨や腸骨などの大型化石まで発見し,硬化剤等を注入しながら丁寧に発掘作業を行った.また,シャルツァフ周辺は獣脚類や竜脚類の足跡化石が豊富に保護されており,着地面の状況や左右の脚の区別,歩幅の測定から得られる恐竜の実際の大きさの推定まで,実物を眼の前にしてのレクチャーと議論も経験した. 体験プログラムの評価として,参加した学生5人に事前アンケートと事後アンケートを実施したところ,学生らは今回の体験プログラムを極めて高く評価していることがわかった.今回の発表では,学生らの体験プログラムの概要とともに,その教育的効果について報告する. |
折しも平成29年告示小学校学習指導要領理科編「計画の作成と内容の取扱い」の中の「内容の取扱についての配慮事項」では(3)「体験的な学習活動の充実」を図ることが求められているだけでなく,(6)において,博物館や科学学習センターなどとの連携によって指導の充実を図ることが記されていることから,方法論として今回の体験プログラムは大きな示唆を与えていると思われる.