2006年から、鳥取大学附属小学校において、美術鑑賞の指導法について4年間にわたり研究を重ねてきた。当初は、他の学校や美術館で採用されている既存の指導法を取り入れたが、これらの方法は当校の状況には適していないことが判明した。そこで、当校の児童や教育背景に即した、より適切な独自の指導法を開発することにした。
私たちの教育手法の特徴の一つは、「線」「色」「形」といった美術の基本的な構成要素に焦点を当てている点である。言うまでもなく、これらすべての要素が美術鑑賞を構成している。一方で、小学生にこれらすべてを一度に鑑賞させようとすると、美術鑑賞が不十分なものとなり、美術作品の意味を理解する上でのメリットも得られなくなってしまう。そこで、私たちは「線」「色」「形」という造形の基本要素を個別に扱い、1単位時間の授業時間ごとに1つの要素に焦点を当てることとした。本稿では、小学3年生を対象に「線」に焦点を当てた授業について紹介する。