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アイデア出し会議では参加者のバランスのとれた参加と受容的な姿勢が重要だが,参加者間の年齢・性別などの社会的カテゴリの違いの影響によってこれらが抑制されることがある.バーチャルリアリティ(VR)環境は社会的カテゴリの認知に影響を与える外見の社会的手がかりを操作できるため,この抑制を軽減する可能性がある.本研究では年齢・性別が異なる4人で構成された16グループ(n=64)に,参加者の外見と類似した「外見による社会的手がかりのあるアバタ」と,参加者の外見と類似せず,参加者間で同一の外見をした「外見による社会的手がかりのないアバタ」のいずれかを用いて議論させる被験者間実験を行い,アバタの外見による社会的手がかりの有無が,バランスのとれた参加および受容的な姿勢に及ぼす影響を調査した.両条件ともVR環境での議論の前に対面環境でアイスブレイクを行い,参加者にグループの他の参加者の年齢や性別を認識してもらった.実験の結果,他の参加者の実際の年齢や性別を認識していたにもかかわらず,外見による社会的手がかりのないアバタは,社会的手がかりのあるアバタと比較して,バランスのとれた参加を促す(具体的には,発話単語数の参加者間のバランスが良く,他の参加者から感じる社会的影響力のバランスが良い)ことが示された.受容的な姿勢はいくらか促す(具体的にはポジティブな社会感情(たとえば「いいね,素敵」)を表す発言が増加する)ことが示された. |