ガボン共和国のゴリラ、コンゴ民主共和国のボノボ、およびウガンダ共和国のチンパンジーに関して、それぞれ人為撹乱影響下にある生息地で、おもに遊動域と食物選択について研究をおこなった。大型類人猿は、アフリカの熱帯林を代表するものであり、彼らは原生林に依存していると考えられがちである。しかし、実際にはパイオニア植物の果実や葉、あるいは地上性草本類など、二次林を特徴づける植物に大きく依存していた。森林動態のなかで二次林を構成する樹種の葉の機能形質を調べると、窒素含有量が多く、タンニン含有量が少ないなど、野生霊長類の食物として好ましい性質をもつことが判明した。