地域資源の有効活用をめぐる議論は,公私の論理が交錯する問題があり,到達点をなかなか見いだせない。その理由として,地域内外の多様な資源を活用する視点に加え,その主体となる地域内外の多様なステークホルダーを視野に入れた議論の余地が残されていることが挙げられる。この議論を進めるにあたって,市場で取引される資源,私的な資源および公的な資源が相互の利用可能性を高めることをめざして進行する資源統合が,有用な視点になると考えた。本研究は,地域資源の有効活用がみられるまちづくりの事例に注目し,地域内外のステークホルダーが各自の役割をどのように考え,またどのような相互作用がみられるのかについて,資源統合の視点から考察した。その結果,地域内外の資源統合アクターが,各自の役割範囲を固定的に考えないようにしていることとともに,3つの資源の利用可能性を相乗的に高めることによりまちづくりの主体になっていくことが明らかになった。