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高病原性鳥インフルエンザ(HPAI)や口蹄疫(FMD)のような家畜の伝染性疾病は一度発生すれば、畜産業に甚大な被害を引き起こす急性伝染病である。急性伝染病は感染から発症までの期間が短く、顕著な臨床症状を呈することが多いため、伝染病として認識されやすい。HPAIやFMDは過去に国内発生はあるが、殺処分等を始めとする発生時の徹底的な防疫対応と飼養衛生管理の徹底により、現在は清浄化が保たれている。近年では豚流行性下痢(PED)が7年ぶりに国内で発生して大きな被害を引き起こした。一方、急性伝染病のような顕著な症状を示さないものの、家畜の生産性を阻害する慢性疾病が近年問題視されている。慢性疾病は病気の特性上、コントロールが非常に困難である。代表的な疾病としては牛白血病や牛ウイルス性下痢ウイルス感染症(BVD)が挙げられる。これらは全国的に被害が顕在化してきているが、その清浄化対策には長い時間と労力を要するため対応に苦慮しているところである。本稿では、鳥取県での疾病対策事例を参考に、家畜の急性伝染病としてPEDを、家畜の慢性疾病としてBVDを紹介する。 |