日本における小学校の授業では,授業改善のために授業の省察活動が行われてきており,フィードバックが重要となっている.特に,小学校段階の授業では,教員の説明や促進,質問などの発話と児童の返答が多くなされてきており,一種の対話がなされている.この対話を分析によって,教員の発話の種類や児童の学びの状況を分析し,学びに関する分類を教員へフィードバックが可能と考えられる.授業の対話の分析による学びの種類の抽出には,自然言語処理分野のニューラルネットワークを用いた手法が利用可能となってきており,文脈を捉えることが比較的可能となっているBERTやTransformerの手法の他に,対話に適したモデルとして対話応答生成で用いられるGVTモデルがある.本研究では,BERTによる分析の他に,教員と児童の話者ごとにコンテキストを考慮するようにGVT(Global Variational Transformer)モデルを拡張したモデルを提案し,対話から学びの種類の分析を行っている.また,授業における学びの種類の時系列的分布の可視化についてのシステムの開発を行っている.
Vol. 122No. 241pp. 47-54