年,社会科教育研究では,教師教育に関心が寄せられている.本研究では,特に「用意されたカリキュラムや教材を自らの授業観に基づいて組み替える授業設計力」,すなわちの主体的な授業の調整力(ゲートキーピング)の育成を目指す教師教育の在り方について提案するものである.本研究では先行研究をもとに「①教科観の省察」「②授業理論の分析」「③自己の授業理論の再構築と授業プランニング」を授業の調整力育成のプロセスととらえ,それらを初等社会科教育法の講義を通して具体化した.本研究の成果は以下の点である.1つは,上記の①から③の過程を経ることで,学生が単元設計において教育のねらいを意識した教育内容・教育方法の選択を柔軟に行うことができるようになった点である.もう1つは,学生が授業の調整者としての教師の役割や責任を自覚できたことである.学生の教師のゲートキーピングの萌芽を保障することができたことにこの研究の意義がある.